リヤサスのOHと換装(9)組み立てとオイル充填
各パーツのリペアが一応完了したので、さあ組み立て! といきたいところですが、ひとつ忘れ物がありました。バンプラバーの再生です。もともとのブツが風化してなくなっていたので、再生というより新規製作ですな。
Webで散々調べたにも関わらず、オリジナルの形状は不明。なので適当にそれらしく。で用意したのはこれ。
エラストマー樹脂製で黒と茶色があります。ここはもちろん黒を選択。同様の品物は百均でも手に入りますが、ダイソーには茶色しかありません。ダイソーは4ヶセットなので安いですが、つくりは雑です。
メーカーは和気産業株式会社というところ。リンク先は直営通販のサイトです。品番品名は「イスキャップB黒丸 BC-153 内径21mm」というものです。
M10ナットの二面幅は17対角距離は19.6なので、内径21のイスキャップはナットに被せるとぶかぶかになってしまいます。よってロッドにちょっときつめに入るようにするために、デザインカッターでφ12より少々小さめの穴を開けます。
仮組してみました。
縦に割った形状が台形の普通のゴム脚だと、ロックナットに被せるのにかなり気合を入れて掘らなけりゃなりませんが、このイスキャップだと簡単。おさまりもよさそうです。
さあ、がんがん組み立てましょう。
普通の手順だと、まずプラダを組み付けて、ダンパー本体側からオイルを注入。オイルを溢れさせながらピストンを挿入していくのですが、ピストン側が分解できなかったのでちょっとイレギュラーな方法をとります。エア抜き用として新設した穴から入れるんですな。なので先にプラダを組んじゃいます。
プラダにシリコングリスを塗ります。プラダをはめ込むときのかじり防止と気密確保のため。使用するオイルを塗っても構わないと思います。プラダをぐぐっとサブタンクに押し込みます。外すときは劣化したオイルで固着していたためか大変でしたが、シリコングリスのおかげでなんともスムーズに入りましたよ。
サークリップを組み込みます。これも外すときと比べたら雲泥の差。なにも苦労せずパチンと入ります。
サークリップを入れるときのプラダは押し込みすぎなので、バルブキャップをつけてラジオペンチで掴み引っ張り出します。バルブキャップは交換するのでキズとか気にせずにがっちり掴みます。
オイルを入れてガスを入れ、圧をかければ自ずとこの位置に出てくるはずですが、それではオイルが足りなくなってしまいます。
リヤクッションオイルK2-Cです。カワサキ純正部品扱いで本来はKX用。有名な話ですが実はカヤバ製です。缶の背面にも製造元KYB株式会社とありますね。余談ですがカヤバって岐阜の会社だったんですね。知らなかったなぁ。粘度は5W相当らしいです。
最初用意したオイルはフロントフォーク用の#15だったんですが、調べたら普通のリヤサスはフロントでいうカートリッジサスと同様の構造らしく、カートリッジサスには低粘度のオイルが必要だったんですな。また無駄な買い物をしてしまった…
各社からカートリッジサス用のフロントフォークオイルは出てますが、どれも1L2200円から2500円くらいと結構いい値段がします。で、このカワサキリヤクッションオイルK2-Cは定価1680円と破格の安値。ちょっと迷いましたけど、当初の(できるだけ安くという)ポリシーを貫くべく物は試しと購入してみました。リヤサス本体もカヤバ製だし。
オイルはほんのちょっぴり黄色がかったほぼ無色透明。サラサラしていてサラダ油のようなにおいがします。本気でてんぷらに使えそうな感じ。
エア抜き用として新設した穴からオイルを入れます。なぜか持ってるシリンジを使用。できるだけエアを入れないように、シリンジの先端に細いチューブを付けて奥のほうから静かに入れていきます。ロッドは一番縮めた状態から始めて、オイルがいっぱいになったら少し伸ばし、できた空間をまたオイルで満たす、ロッドを少し伸ばす、オイルを入れる、この繰り返しです。
ロッドが全伸の状態でオイルがいっぱいになったらエア抜きです。注入口が一番高い位置に来るようにして注入口を指で塞ぎ、ロッドを静かに縮める。その後できるだけ速くロッドを伸ばす。しばらく待ってから完全に縮めきらないようにロッドを静かに縮める。素早く伸ばす。この繰り返しです。
ピストンよりロッド側にエアが噛んでいると「ぐじゅっっ」って音がします。何度か伸縮を繰り返しているとそのうち音がしなくなります。そうしたらロッドが完全に伸びている状態で、注入口を塞いでいた指を離します。さっきいっぱいにしたはずのオイルが見えなくなるほど液面が下がっているので、あふれる寸前までオイルを足します。そしてまた指で塞いで同じことの繰り返しです。
何度も何度もしつこく繰り返してあらかたエアが抜けたところで、注入口に栓をして、全体をゆすってみます。たっぷんたっぷんと一升瓶を振っているような感覚がしたらまだダメ。エアが残ってます。プラハンでこつこつ叩いてみたり長時間放置してみたりしてエアが注入口付近に上がってくるのを待ちます。再び栓を外して最初から。なにしろ根気のいる作業です。で、無事エア抜き完了。
ここで減衰調整ダイヤルの確認。ガスを入れてしまうと分解時の二の舞になってしまいますからね。最弱の「1」で一番簡単にロッドが伸ばせるのが正解。
前の写真の使いまわしですが、減衰圧調整用のシャフト端には対面カット、ダイヤルにもそれに合うような長穴が開いているわけですが、どちら向きにでも組めちゃう。失敗すると「3」で最弱、「2」で最強になっちゃいます。で、マーカーペンで適当にしるしをつけておいて借り組み。エア抜きの過程でダイヤルを切り替えてみて判断しようと目論んでいたのですが、どうもよくわからない。
二本あるサスのうち一本は明らかにダイヤル調整で伸び時の抵抗が変わるのがわかるのですが、もう一本はどこに切り替えてもいまいち違いがよくわからない。
ロッドが微妙に曲がっているかシールがいっちゃってるか、はたまた減衰調整バルブの流路が詰まっているか。こりゃ困った。しかたないのでちょっとだけガスを入れてみて、伸びてくる時間を測定して判断することにしました。
次回は問題のガス充填の予定。
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