最終更新: 2015/10/12(Mon)16:18

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タンデム用インカムアンプの製作(2)試作完成

いきなり完成報告です。とはいえ前回の記事から10日以上過ぎていますので、その間の試行錯誤は推してください。素人にはとっても大変でした。基本的にWebを徘徊して得た知識で製作していますので、抵抗の定数など不安な部分も多々あります。もしこの記事を参考にして自作してみようと思う方がいらっしゃったら、そのあたりを肝に銘じて取り掛かることをオススメします。

メインアンプ部

★ボリュームアンプ
メインアンプ部は百円ショップセリアで入手できる「ボリュームアンプ」という製品に使われているTDA2822Mという石を使います。
TDA2822MはSTMicroelectoronics製のDUAL LOW-VOLTAGE POWER AMPLIFERです。仕様の詳細はここ。データシートもダウンロードできます。
ボリュームアンプはモノラル仕様のアンプですが、TDA2822Mには二つのアンプが載っていますので、一石でステレオ化が可能です。
なぜTDA2822Mを使うのかというと、本格的な音質は求めないのと、単三電池2本で駆動したいから。あとは入手性の問題ですね。

TDA2822M(というかボリュームアンプ)を使ったステレオアンプの回路図はあちこちで見つかりますが、データシートの例どおりにつくっているひとが多いです。最初は自分もそうしましたが、そのままだと非常に利得(ゲイン)が高すぎて扱いにくいです。で見つけたのがこちら。

HPA-006:3V ボリュームあっぷ改造
ダイソー製の「ボリュームあっぷ!!」を利用したヘッドホンアンプの製作記事です。

TDA2822Mの互換チップ、新日本無線製のNJM2073のデータシートを参考にしてゲインを下げたとのこと。確かにこちらのデータシートにはTDA2822Mには無かったゲインの計算方法も記載されています。
ただし3rdProjectさんの回路図は、47μFの電解コンデンサの位置がデータシートと異なります。3rdProjectさんの回路図を試してみたのですが、後述のマイク出力を入れると発振してしまったので、NJM2073のデータシートのとおりとしました。

マイクアンプ部

PNDとマイク単体の出力の差は歴然ですので、レベルをそろえるためにマイク用のアンプが必要です。手持ちに2SC1815があったのでトランジスタを使った増幅回路をこしらえることにしました。
参考にしたのはこちら。

1石トランジスタ回路の設計
2SC1815 1石 MCカートリッジヘッドアンプの製作

詳しい解説はできませんのであしからず。1石では音が小さかったので2石にしました。

ミキサー部

いわゆるパッシブミキサーというものをつかいます。電源不要で、逆流防止のための抵抗をかますだけの簡単なミキサーです。抵抗が入るので音は小さくなってしまいます。
参考にしたのはこちら。

自製のオーディオミキサ(ライン入出力用)

ただし抵抗は3.3kΩにし、GNDに落とすところは5.1kΩとしました。あちこちの作例をみると等倍~2倍くらいの抵抗値でよさそうでした。5.1kを選んだのは単に手持ちの関係です。

回路図

★タンデム用インカムアンプ(外部入力付)回路図
以上を踏まえて回路図を引きました。
しつこいようですが、理屈がよくわからずに書いている回路図なので、流用される場合は自己責任でお願いします。

メインアンプのゲインはR9の、マイクアンプのゲインはR3の抵抗値を変えることで変更できます。現状の構成だとメインアンプのゲインは約31倍になるはずです。

図中には1セット分しか記載していませんが、2セット分をひとつの基板に載せます。
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【2011.07.20 追記】
この回路図は古いです。今日現在、最終版はまだできていません。
タンデム用インカムの回路図を探してここを訪れる方が多いようなので…
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【2011.08.22 追記】
最終版は【完成】自作タンデム&ミキシングアンプにあります。
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ケース

ケースは悩みました。最初は電池ボックスもろともボリュームアンプのケースをそのまま使うつもりでした。でもブレッドボードで回路を組んでみたりしているうちに、とても元ケースには収まらない回路規模だということがわかってきました。
よくある百均のタッパーでもかまわなかったのですが、アンプ関連の情報をあさっているうちに、ipodに代表される携帯ミュージックプレーヤー用でヘッドホンアンプを自作するのが最近流行っていることを知ります。
この分野では、アルトイズのミント缶に組み込んだり、単三4本のスイッチ付き電池ボックスを使ったりと、なかなかかっこいい作例が多いです。タッパーだとあまりに貧乏くさいですね。で選んだのがこれ、ダイソーのステンレス名刺入れ厚型(名刺40枚収納可能)です。

★ステンレス名刺入れ厚型
ステンレス製とうたわれていますが磁石はくっつきます。板厚0.5mm。内側の厚みはぎりぎり単三電池と同じ。したがって電池ボックスはそのままでは使えません。店頭で見つけたときは電池が入るかどうかばかり気にしていたので、実装の段になって部品のレイアウトに苦労するとは夢にも思いませんでした。

★穴あけ
穴あけはボール盤がないと辛いでしょうね。内側のバリとりもそれなりの道具があったほうがいいです。自分の場合は両者ともに職場のものを使ってしまいました。中央下の角穴はスライドスイッチ用ですが、小径の穴を多数開けてニッパでつなぎ角ヤスリで仕上げるというオーソドックスな手法で加工しました。

実体配線図

★タンデム用インカムアンプ(外部入力付)実体配線図
オーディオ関連の場合、部品の配置にはなにかしらのセオリーがあるようなのですが、難しいことは考えずになにしろケースに入るように配置を考えます。

実は最終的にはこの実体配線図のとおりではないです。電源スイッチを埋め込むためにコンデンサにどいてもらったり、ボリュームとミニジャックがじゃまで上下をつめたり、いろいろしてます。まあ基本的にはこのとおりで、電解コンデンサが耐圧50Vの背高品しかなかったのですべて横に寝かさざるを得ず、おかげで占有面積が大きくなって基板が大きくなるという悪循環でした。もうちょっとだけ厚いケースだったらこんな苦労はせずにすみました。

なお実体配線図の作成にはPasSを使いました。
プリント基板エディタPasS (Parts Arrange Support System)
一般的なキーボードショートカットが使えなかったり等倍表示しかできなかったりしますが、普通のお絵かきソフトに比べると格段に作業効率が上がるとてもいいソフトです。

部品調達

可変抵抗とステレオミニジャック、一部の電解コンデンサ以外は、百均で購入したものと手持ちのものでまかなうことができました。
可変抵抗(ボリューム)は旧来のφ16のものはサイズ的に使えず基板実装用のものを、ステレオミニジャックは安いパネルマウントのものを選びました。
共立エレショップで購入。

品名型番単価メーカー
基板用2連可変抵抗(A)RK0972-A100K L-20KC178円SONG HUEI ELECTRIC
3.5φステレオジャックパネル型MJ-08384円マル信無線電機

寸法などのデータはリンク先のメーカーサイトにあります。
あとで知ったことですが、ミニジャックはiphoneなどで採用されている4連のもの(L・R・MIC・GND)を使えばよかった。そうすればレイアウトであんなに苦しむことも(以下略)

タンデム用インカムアンプの完成

★全体写真
外観写真のみ掲載します。なぜかというと内部は空中配線でとても見せられる状態ではないから。
ここまで述べてきたとおり敗因はいろいろです。とにかく部品選定の考慮不足でスペースが無いのが辛かったです。
なにはともあれアンプはこれで完成。実地試験ができるようになったので次はマイクにかかります。

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