リアまわりの分解と異音の正体
- カテゴリ: カスタマックス4×4
- 投稿日時: 2005/10/15(土) 01:29:09
まず、かなりの抵抗になっているようだったので、初期充填のグリスはすべて拭き取ることにしました。脱脂までは行いません。
機械モノの常識ですが、グリスは少ないほどよいです。不要なグリスは抵抗になるばかりか、埃を呼び寄せて逆にロスを増やします。潤滑目的のグリスは「あたり面にうっすらと」が基本です。もちろん、たとえばボールデフを硬くするためなど、何か別の目的があってグリスを使う場合は別です。
では順を追ってバラしていきましょう。なお部品の命名は適当ですので悪しからず。
(1)アッパーシャーシー押えと(2)ボディマウントを外します。ネジは矢印の位置です。
(3)アッパーシャーシーを外します。
アッパーシャーシーです。矢印の部分でステアリングロッドを押さえますし、ステアリング駆動用のモーター+ギヤボックスの押さえも兼ねています。
後端の穴は左右に2ヶずつあります。たぶんホイルベースの変更のためだと思われます。
インプレッサでは後ろの穴を使いますが、だいぶ歪んでしまっています。金型の不具合というよりは、過大なトルクでネジを締めたという感じです。
ちなみにこの穴ピッチは5mmで、(4)リアアッパーシャーシーのそれとは合いません。
(4)リアアッパーシャーシーを外します。後ろ側のネジは他よりも長いです。
中央のボスがリアサスペンションの支点です。(3)アッパーシャーシーをネジ止めする穴が3列あり、普通に考えるとホイールベースが3段階に変更できそうな感じです。でも穴ピッチは4mmで、(3)アッパーシャーシーとは合いません。
前部は基板の押さえ、後部はモーターユニットのロール軸を挟み込む部分です。
前輪に駆動を伝えるベベルギヤが出てきました。これでモーターユニットが分離できます。
モーターユニットです。まずモーターとタイヤを外します。
(5)デフギヤケースを外します。この中にデフギヤが入っています。
(6)デフギヤAssyと(7)カウンターギヤです。
カウンターギヤは30T/12Tで歯先円直径がφ16なのでモジュールはトイラジでもっとも一般的な0.5であるとわかります。またシャフト径はφ2.5です。
(8)モーターケースと(9)センターケースを分離すると、(10)切り替えレバー、(12)切り替えギヤ、(13)ベベルギヤが取り出せます。
赤い(11)プラベアリングは外径φ6×内径φ3×厚さ2mmでした。市販の630ベアリングは厚さが2.5mmですがまあ使えると思います。ちなみにミニ四駆/ダンガンの丸穴ベアリングは内径がφ2なので残念ながら使えません。
これでモーターユニットがほぼばらばらになりました。
つづいてデフギヤAssyについて。
デフギヤAssyです。歯数は28T。
シャフト径は3mm、両端のネジはM2です。ギヤ右側の白い部分は六角断面で、シャフトに圧入されています。ギヤより左側はシャフトに対してフリーです。つまり、左後輪はホイールとナットが別々に回転するということです。ホイールとナットの間にはほんのわずか隙間がないといけないことがわかりました。ここだけは平ワッシャは入れないことにします。
ボールデフではなく3ベベルのギヤデフです。これはホント良くできてます。
初めて出会ったギヤデフはタミヤ1/10タイレルP34でしたが、原理は同じでもこんなに小さいものがつくれるとは思ってもみませんでした。しかもタイレルのそれは2ベベルだったような気がします。
左の出力ギヤには出力軸を差し込む溝があります。
左上に写っているのが右の六角断面のシャフトに勘合する(12)切り替えギヤです。このギヤをレバーでスライドさせることで四駆と二駆を切り替えます。
これでリア周りのバラシは終了です。
グリスをふき取りながらばらしていったのですが、それはそれはてんこもりでグリスが入っていました。間違いなく抵抗になっていたことでしょう。
ギア周辺から出ていた異音の原因を追求しましょう。
デフギヤケース内側に射出成型の突き出しピン跡があり、これが結構バリっていました。また、金型に起因すると思われる突起やヒケがあちこちにあります。まずここが怪しそうです。
デフギヤの歯面と干渉しそうなギヤケース内壁を耐水ペーパーで削りました。写真は加工後のものです。
なお、ギヤケースとデフギヤのクリアランスはかなり少ないです。
ギヤの配置はこのようになります。ギヤは全体的にエッジが立っている感じだったので歯の側面を面取りしました。やり方は簡単、デザインカッターで慎重に切るだけです。
さて、矢印の部分ですが、(12)切り替えギヤのボスと(7)カウンターギヤが干渉しそうです。この写真を撮った時はそれほど気にならなかったのですが…
デフギヤAssyの六角断面シャフトと切り替えギヤを単体で組み合わせてみたところ、ガタがかなり大きいことがわかりました。駆動系のガタはなるべくないほうがいいので、0.06mm厚のアルミテープを巻くことにしました。
数周巻いて徐々にはがしていったところ、ちょうどひと巻きでしっくりくる感じになりました。
ところがところが。かえって異音が大きくなってしまいました。
なんとこのガタは意味があったんですね。つまり、ギヤの配置写真でもわかるとおり、切り替えギヤのボスとカウンターギヤの歯先がかろうじて干渉していなかったのは、このガタのおかげだったんです。まさにぎりぎりの設計ですな。
せっかく精度出しをしたのに元に戻すのは悔しいというわけで、別の方法を考えました。切り替えギヤの逆使いです。
この向きであれば切り替えギヤのボスとカウンターギヤは絶対にあたりません。仮組してみると四駆の時はOKです。
……二駆では(8)モーターケースとあたりました。
よほど切り替えギヤのボスを切ってしまおうかと思いましたが、このくらいの長さがないとベベルへの動力伝達時に斜めってしまうと思われたのでやめました。モーターケースを追加工です。
赤で囲った部分を削り落としました。結果オーライ、異音は消えました。
モーターユニット単体で、モーターを取り付けない状態でタイヤを回転させてみて手ごたえをみたところ、ずいぶん軽くなりました。
フロントはまたいずれの機会に。
Tweet
コメント
この記事へのコメントはありません