最終更新: 2020/11/23(Mon)13:57

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アオシマ 1/72 ファルコ

★箱
また製作依頼品です。またしてもアオシマのプラモデルです。
実は依頼を受けたのはかなーり前でして、かれこれ2年近くも放置しておりました。すまぬ > 依頼者
RS-1 の完成で久しぶりにプラモデル製作熱が高まっているので、この機会にやっつけてしまおうという魂胆です。

ファルコは1978年放映のアニメ「未来少年コナン」に登場する飛行艇。5大陸が海に沈んだ最終戦争から20年後の世界が舞台です。この世界で唯一残された飛行機という設定。メンテナンスされているとはいえ、20年超も現役で使われている機械なわけで、それ相応にガタやヤレが来ているはずですね。
飛行艇なので離着陸は海面。機体の底は飛行機というより艦船のような形状です。模型的には、ゼロ戦とかの大戦機と同じ要領でやるのがしっくりきそうです。

モデラーを自称している自分ですが、クルマと同様、レシプロの飛行機もあまりつくったことはありません。たぶん小学生の時に1/48のゼロをつくったのが最後ではないかな。ガンプラブーム以降、キャラ物ばかりやってた気がします。このファルコもキャラ物といえばキャラ物なんですがね。

なんとなくは知ってましたが、あらためて調べてみるとクルマと飛行機ではプラモのつくり方、ぜんぜん違うんですね。クルマはクリアがけしてピカピカに仕上げるのが定番ですが、大戦機は退色表現を施すのが一般的みたいです。知識として知っているのと実際にやってみるのとでは大違い。いい経験です。いいじゃないですか。やってみますか。

今回こそは無改造素組で進めます。RS-1 は事細かに書きましたが、今回は詳細には触れずにざっくりとした記事で進行しますよ。なので本エントリで読み切り完結です。

飛行機のキットを組む時、最初にやるのがコクピット。全体の流れを大雑把に言うと、つくりこんだコクピットをモナカ状のボディで挟み、やっぱりモナカ状の翼をつけてマスキング、塗装という流れです。フラップの内側や脚収納庫など、後から塗装できない部分はあらかじめ塗っておいてから組み立てていきます。塗装と組み立て ( 接着 ) を並行して作業するのですね。

★メーターパネル
ってことでまずはメーターパネル。かなーり適当に塗りました。劇中ではグレーっぽい感じですが、実機っぽくするのなら地はつや消し黒で文字盤は白ですかね。でもそれだと華がないので、赤とかオレンジとか使ってしまいました。
モールドがすばらしい。RS-1 と比較して、とても同じメーカーのキットとは思えない出来栄えです。モールドがはっきりしているので塗り分けも簡単でした。
あとで失敗したなぁとおもったのが地色。基本塗装をフラットブラックで塗ってしまうと、その後のスミ入れとか影色とかの表現ができません。暗めのグレーにしとくべきでした。

コクピットは2階建て。設定によるとこの機体、もともとは海洋観測機なんです。観測員は丸窓の一階で作業するのでしょう。
シートは適当なグリーンを筆塗りした上にドライブラシをかけてみました。ああ、ドライブラシなんて何年ぶりだろう。傷んだ筆の先っちょを切ってライターで炙ったドライブラシ専用筆が懐かしい。今はありません。
基本塗装色に少量の白を加えて明度を上げたものでドライブラシしてます。白でなくて同系色で彩度の違う色を重ねて深みを出す手法もありですが、色彩のコントロールが激ムズ。修業が必要ですね。
壁は C13 ニュートラルグレー、床は C29 艦底色。こちらも同様にドライブラシかけて、エナメルの黒やダークグレーでウォッシングとスミ入れします。
ボディ側のコックピット内壁もニュートラルグレーで塗装。ボディは黄色なので光が透けてしまいそう。なのでボディ内側は全部同じグレーで塗りつぶしておきます。

★ボディ接着 ★合わせ目の処理
で、おもむろにボディの接着。操縦席前方の風防の下に目立つ合わせ目が出現しますので、ラッカーパテで埋めます。逆に言うと合いが悪いのはここだけです。こういうデザインだと言い張ればパテ埋めする必要もありません。
2つある丸いダクト状の構造物はそのまま使うつもりでやってましたが、面処理で四苦八苦したので断念、削り落としてプラパイプで置き換えました。
他の合わせ目は接着剤むにゅ工法で。抜き方向の関係で甘くなっている上面のスジボリを彫り直します。リベットの再生は面倒なのでやめておきます。

★主翼接着
フラップ下面とラジエータはあらかじめ塗装しておいて、主翼を貼り合わせます。フラップを後方にスライドしたときに翼内部がちら見できるので、ここも先に塗っておきます。色はよくわからなかったので、コックピットの内部色と同じニュートラルグレーを使用。
なおフラップの塗装の際、ポリキャップをはめたまま塗ったところ、パーティングラインからぱっくりと割れてしまいました。応力のかかっているところにケミカルアタックしちゃったんですね。見なかったことにしてフタを閉めます。今後は気をつけよう。

★仮組

ここで初めて全体を仮組み。びっくりするほどパチピタです。すごいぞアオシマ。
偶然にも二回連続でアオシマキットをつくってますが、失礼ながら昔のアオシマは合いも悪くてモールドもグダグダっていうイメージでした。このキットは全然そんなことないです。素晴らしいです。お値段もそこそこ張りますが、今どきの基準からするとそれも適正価格といえるでしょう。

★パネルラインの影入れ
さてここからが初めての試み。まずパネルラインに沿ってシャドウを吹きます。機体と主翼上面はオレンジと黄色の影色ってことで赤茶系で。主翼下面は明るいグレーが基本色なので、影色は暗めのグレー。
この時点では不安しかありません。ホントに大丈夫なのか?

★主翼下面とボディの塗装
先に吹いたシャドウを全部塗りつぶさないように基本色を重ねていきます。パネルの中央から縁に向かって広げていくようなイメージ。主翼は上面のオレンジが強い色なので、先に下面のライトグレーから。劇中では薄いパープル寄りの色合いですが現用機っぽい C307 グレーFS36320 にフラットベースを混ぜたものにしてみました。単純に好みです。
胴体は指定色の C4 イエローだと黄色過ぎる気がしたので、C109 キャラクターイエローに C113 RLM04イエローを少量混ぜたものにしました。こちらもフラットベースを添加。

★主翼上面の塗装
マスキングして主翼上面の塗装。C59 オレンジにフラットベースを混ぜたものです。オレンジは隠蔽力が低いようで、影色がちょっと目立ってます。翼下面は逆に目立たなさすぎかな。色によって隠蔽力が違うんですね。なるほど勉強になります。

★退色表現上
更に少量の白を混ぜたものでパネル中央を退色表現。んー、悪くはないけどちょっとやりすぎた気が。最終的には影色の部分にオレンジを上掛けして落ち着かせました。

★退色表現下
機体底は定番の C29 艦底色を使ってみましたが、イメージと比べて暗すぎでした。ざっと拭き取って C100 マルーンをベースに変更。ここも同様に少量の白で退色表現をかけています。退色表現というか、面を際立たせるためのグラデーションですかね。
実は「ざっと拭き取り」に失敗してます。ところどころ表面が荒れてます。ははっ。
ちなみに尾翼とペラも同じ色です。舵も同じマルーンで塗ってしまいましたが、あとで本編を観たら黄色でした。まあいいか。見なかったことにします。

★フィギュア
インダストリア武装行政局員を筆で塗り塗り。手持ちの塗料でかなーり適当な色合いです。胴体は C6 グリーン、手袋頭巾その他は C40 ジャーマングレーを基調にしてます。
エナメルのダークグレーでウォッシング後、水性のつや消しクリアを上掛け。
頭巾から前髪をちょっとだけ出してみました。この真ん中のひとをモンスリーさんということにしておきます。
とてもじゃないけど目とか塗れません。世の中には 1/100 でそれはそれは緻密な造形塗装をする方がいます。凄いとしか言いようがありませんホント。

★モンスリーさん搭乗
なんとなくですが、劇中に比べて人間が小さい気がしますね。機内が広々とし過ぎというか。翼にしがみつくコナンとか、もうちょっと大きかったように思います。まあ設定と演出の具合なんでしょう。
機首の機銃を接着。外側の大きいのはともかく、内側の二本は接着のための取っ掛かりもなくて難しかったです。斜めの面に穴をあけるのは、刃が滑ってあらぬところに傷をつけそうで辛い。ピンバイスに 0.5mm のキリをセットし、慎重に座を彫り込みました。

★キャノピーマスキング
キャノピーの窓枠を塗ります。キャノピーは武装有り無しの選択式です。依頼者の希望で武装なしを選択。1話2話あたりのイメージですね。
キャノピーはボディに接着後マスキングしてボディと同時塗装ってのが一般的な手順みたいです。窓枠の色合いを合わせるためでしょうね。それか先にパーツの合いをすり合わせるためか。搭乗員の塗装が遅れたので今回は別塗装です。

窓枠の塗装は、最初に機内色、その上から機体色を塗ります。クリアパーツなので完成後も裏側が見えちゃうんですね。なるほど。
最近のマスキングゾルはいろいろなものがあるみたいです。マスキングゾル改を使用。入った模型屋にあったのがたまたまこれだったというだけの理由。

余談ですがこの模型屋というかオモチャ屋、職場近くの駅前にある市内随一のお店で、ずいぶん前から一度行ってみたいと思っていたところでした。たまたま職場の呑み会が駅前で開催だったので早めに出て寄ってみたところ、おじいさんとおばあさんでやってる素晴らしいお店でした。
定価販売でしかも税別ってのがちょっと痛いけど、品揃えは抜群、夜20時までやってるし年中無休ってのも具合いい。ポイントカードもつくってもらいました。今後ひいきにさせてもらいます。

★総組立
すべての基本色を塗り終わったので組み立て。何度も言いますがホントにパチピタです。調整の必要なところはほとんどありません。素晴らしい。
曇るのが嫌なのでキャノピーのマスキングはトップコートの後にはがすことにします。なおキャノピーの接着はボンドGクリヤーをエナメル溶剤で溶いたものを使用する予定でしたがどうしてもうまく行かず、タミヤの流し込みタイプに変更。

★トップコート
水性のクリアでトップコートをかけてツヤを統一します。
クリアがけって、ゲームで言うところのセーブポイントという話をよく聞きます。現状を保存する代わりにこれより前には戻れない。基本塗装部でぼかしや修正が必要なところはないか、よくよく確認してから一気に。
缶スプレーが手軽ですが持っていないので、H20 つや消しクリアーを使用。ただ完全つや消しだと面白みにかけるので、 H102 プレミアムクリアーも混ぜて半ツヤより少々つや消しくらいを狙います。

ちなみに水性ホビーカラーって、古くなるとフタが固着して全然開きません。ラッカーは気合で回りますが水性は絶対に開きません。なんででしょうね。塗膜硬度の違いかな?
で、なぜかうちにはこれがあります。


このころに入手しているようです。必要にかられて買ったんでしょうね。今回も活躍しました。

ここでドキドキしなから窓枠のマスキングを剥がしてみたところ、ゾルにけっこう持っていかれてしまいました。筆塗りでタッチアップしときます。乾燥待ちの時間が長すぎた模様。もうちょっと半乾きのときに剥がしたほうがいいみたいですね。

さあ最終工程。ウェザリングをかけていきます。タミヤのエナメルを使用します。

実はエナメルカラーはウェザリング用途のものしか持ってなかったり。フラットブラック、フラットホワイト、フラットアルミ、ダークグレー、フラットブラウン、レッドですよ。レッドはブラックと混ぜると漏れた機械油汚れの表現ができますね。

当初は大戦機と同じ手法でと思っとりましたが、過激なチッピングは塗装の質の悪い環境限定のようです。ファルコはそこそこ厳重に整備されていると思われますので、サビやら塗装剥がれやらはあまり似合わないような気がしてきました。ウォッシング兼スミ入れだけでよいかな。

★ウォッシング
ウォッシングしました。ダークグレイとフラットブラウン。スミ入れのときよりちょい濃い目にして平筆でダバダバ塗っていきます。またしても不安しかない瞬間。

おおよそ乾いたところで拭き取り。前から後ろ、上から下を基本として、エナメルシンナーを含ませた平筆やら綿棒やら駆使します。
それこそ完全に拭き取るくらいの勢いでやると、残り具合がいい感じになってくれますね。
基本塗装をつや消しでやると、ウォッシングの時にザラザラの目の間に入ってしまって完全に拭き取れないというのを実感しました。このあたりをコントロールしたいのなら、トップコートは一旦艶有りにしたほうが良いのかも。

★翼端灯
これで完成と思ったら、翼端灯を忘れてました。左が赤、右が青。この時代に翼端灯が必要なのかは定かではありませんが、あるものはつけときましょう。
ちなみに翼端灯はクリアパーツですが、緑色のランナーにも全く同じ形の部品があります。番号は振ってありません。何かあったんでしょうね。

★ディスプレイ台
おまけ。ディスプレイ台の機体を載せるところを改造しました。把持力がイマイチですぐに落としそうだったもので。
延長した腕を前後に作りました。プラバン細工が面倒だったのでサクッと 3D プリンタ製です。あとでグレーに塗りました。

12/1着手12/16完成。いいペースで楽しんでできました。
依頼者とは年末年始に会う予定。喜んでくれるといいなぁ。

完成写真です。
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