右前輪の回転抵抗とは
- カテゴリ: XMODS
- 投稿日時: 2006/10/09(月) 22:22:51
Mini-Z AWDの登場によりEVOも今ひとつ盛り上がらないXMODSですが、まだまだ続けますよ。…って、ラジカンの時も同じようなことを書いた記憶がありますなぁ(笑)
クルマの右側面から見たフロントナックルを模式図にしてみました。
まずは一般論から。ご存知のとおり、キャスター角は路面に対するキングピンの角度、トレールはアクスル軸とキングピンの離れている距離のことを指します。ともに直進安定性の向上に貢献するようです。XMODSの場合はフロントサスペンションの構造が特殊なためキングピンという概念自体が一般的なRCと異なります。サスはキングピンの軸方向にはストロークしません。
キャスター角とトレールは数値で押さえたいところですが、なかなか測る手段が見つからずにいます。ラジカンやカスタマックスとは一線を画する部分であることは間違いないでしょう。まあ、あれだけガタのあるクルマでは、実際のところの効果は不明ですが(苦笑)。
これまた有名な話ですがノーマルの最小旋回半径はとても大きいです。本国並みの広い家ならともかく、一般的な日本の居間では何度も切り返しを強いられます。そこで考案されたXMODSの定番の改造のひとつに「舵角改善」というものがあります。タイロッドを曲げる機械的な手法と、ポテメに抵抗をかまして制御回路を騙す電気的な手法が有名。どちらもよりステアが切れるようになるというものです。我がランチア【XMODS】ストラトスには電気的な改造を施してあります。
さて、ステアを切るとナックル内部のドッグボーン先端の位置はどうなるでしょう。ドッグボーンは当然アクスル軸と同軸ですから、トレールがある分ドッグボーンも左右に動くことになります。ステアを右に切れば、右のドッグボーンは内側へ、左は外側へ移動します。
ドッグボーンはデフカップジョイントにかみ合っていて、少々ならカップの溝で軸方向の位置の変化を吸収できる構造ですが、舵角改善改造を行うと、その許容値以上にドッグボーンが移動してしまうようです。その結果、デフカップジョイントはデフギヤ側へ押し付けられることになります。
デフカップジョイントはラジアル荷重をベアリングで受ける構造です。フルステア時、デフカップジョイントは内側に入ろうとしますがベアリングユニットで規制されます。軸方向に荷重がかかるため、ベアリングの回転が渋くなります。
根本的な改善方法は、前輪の駆動系を全体的にクルマの左側へオフセットすることでしょう。ほんの0.5ミリ程度でよいのですがしかしそれはとても難しいことです。とすると、右のデフカップジョイントのミゾを深くするか、ドッグボーン先端を強度的問題が無い程度に短くするかしかないです。
ひたすらカップを削った結果が、以前記事にしたカップの破断でした。アルミ素材で作り直す羽目に陥ってしまいました。その後盛り削りで微調整を繰り返していますが、いまだ良い結果は出ていません。
滑りやすい路面でどのような挙動になるかというと、右にフルステアすると右前輪がロックしたような感じになり、右前輪の接地面を軸にくるりとスピンする感じです。特にカチカチのグリップしないタイヤを履いているとなおさらです。
コメント
3件のコメントがあります
>右にフルステアすると右前輪がロックしたような感じになり
気になったので、机の上で放置状態となっているXMODSに電池を入れて、廊下で走行させてみました。
タイヤもかなり硬化している感じで、粉が吹いているため、グリップは全く望めない様子ですが。
Mini-z 01基板にしているのと、エアプレーン用ミニサーボにして、舵角を増やして接触する箇所を削っているため、かなり小回りが効きますが、あえてフルステア状態ででフルパワーを掛けても、左右での動きの差は感じられませんでした。
(ただ、キングピンの穴がゆるくなっているので、途中でネジが飛んでいったのは毎度の事ですが。)
何が違うのかちょっと気になりました。
あえて言うならば、ナックル内部にシムを入れてガタを減らしていますが、左右で厚さが違う程度かもしれませんが、これがそれほど大きな差とは思えないのですが。
自分の記事を読み直してみて、さらにまるはさんのコメントも読んで、ふと思いつきました。ガタ減らしの目的でナックル外側には630ZZ、内側には630を組んでいるのですが、もしかして組み間違えているのかも… ちょうど0.5mmちがうわけです。というわけでばらして確認しましたが、残念ながら?正常でした。
ステアの左右でタイヤの回転の渋さが変わるなんて情報はほかでは聞いたことがありません。とすると怪しいのは自作デフカップジョイント。左のホイルを手でまわして、丹念に様子を見てみます。どうやらカップの外周部が微妙に偏芯していて、ベアリングハウスと干渉しているような気がしてきました。鉄やすり、布やすりを駆使して外周部を削ります。でも現象は変わらず。
カップのふちの仕上げが粗くて、ドッグボーンのシャフトと干渉しているような気がします。デザインカッターで面取り。でも変わらず。
ベアリングハウスを正面から見ると、全体的に左に傾いているような気がしてきたので、ベアリングハウスの取り付け座をヤスリで整形。しかしながら、ベアリングハウスをシャーシにネジ止めすると、サラネジのおかげで位置決めされてしまい思ったようにはなりません。
右フルステアでシャフトを手で回してみると、ゴリゴリした感触があります。これはもしやデフギヤのバックラッシが強すぎるのではないかと気づいたころには日が変わっていました。
ギヤデフのバックラッシが強い、つまりギヤデフ内部の大かさば歯車を押し込んでしまっている。とすると原因は自作デフカップジョイントのシャフトが長すぎるということです。
歯車に勘合するD断面部分とシャフトの先端を少々削ってみました。ビンゴ。
恥をさらしてしまったようです。ご丁寧に図まで描いて。
やっぱり何事も手を動かしていろいろやってみないとダメですね。
ひとまずフルステアでもしゃらしゃらとデフが効いてスムーズに反回転するようになりました。これが実際の走りにどう影響するかはまたのお楽しみです。
それにしてもお恥ずかしい。
試行錯誤の過程というのは、本来表にでてきませんので、それを公開されている事じたい、すばらしい事ではないでしょうか。
フロントホイルとシャフトのガタも、ある程度抑える必要がありますが問題もあります。ベアリングを2mm厚のものから2.5mm厚のものにするだけでガタそのものは減りますが、0.1mm厚さのシムをホイル内部に入れてさらに調整すると、ユニバーサルそのものがホイルと一体になるため、アッカーマンの関係上、ユニバーサルがドックボーンの内部へ押し込みやすくなるようです。これは痛い問題です。
余談ですが、フロントギアデフのメンテナンス中に、中央に挿すピンを無くし、そのまま走行させた事がありました。
それでなくてもガタの多いXMODSが、手に負えないほどの振動に悩まされる事となり、扱えるぎりぎりの車になった事がありましたが、そのときは原因が分かりませんでした。その次に分解した時に分かった事でしたが。