ポータブルヘッドホンアンプをつくる(2)
- カテゴリ: 雑記
- 投稿日時: 2013/08/15(木) 22:14:49
前回は、「nabeの雑記帳」さんとこの「低電圧ヘッドホンアンプVer3(op-dbuf3)」をつくり、エージングを始めたところまで書きました。その後の顛末です。
これが製作した基板です。オリジナルの回路ほぼそのままですが、音質改善のための極小サイズのチップコンデンサは割愛してます。更にツェナーダイオードとかコイルとか、どんなものがよいのかよくわからなかったので適当に選んでます。コンデンサに至っては、電解コンデンサはOSコン、そのほかはフィルムコンと、それこそ適当です。ハンダ面にコードを這いまわすとケースに収まらない可能性が高かったため、逆に部品面はスズメッキ線のジャンパーだらけ。これがよいのか悪いのかはさておき、自分的にはかなりすっきりと実装できたと思っています。
さて、FMトランスミッタにつないで一週間ぐらい毎日使って、そろそろエージングも進んだと思われたころ、あらためてヘッドホンをつないで聴いてみました。
変わったような変わらないような。うーん、こんなもんなのか。で、持っている曲を片っ端から聴いてみるとなにやら怪しい感じ。
もしやこれはヘッドホン出力なのが原因なのではと、ライン出力用のアダプタをつけてみることにします。巷のうわさでは、ライン出力のほうが格段に音がいいという話だし。
ご存じのとおり、iPhone5で採用されたライトニングコネクタはフルデジタルで、iPhone4SまでのDockコネクタにあったアナログライン出力がありません。でどうするかというと、Apple純正の「lightning to 30-pin adapter」が必要。
このアクセサリ、実はただの配線変換アダプタではなく、D/Aコンバータが内蔵されてます。サードパーティーの激安品にはこのDACが入ってません。お値段の差はそういうこと。普通に買うと2800円でしたが、ヤフオクで新品未使用品を2200円で落札しました。
さらにDockコネクタからライン出力をとるための、Dockコネクタ-ステレオミニプラグアダプタも必要。市販品もありますがここはひとまず自作することにしました。
ピン配は調べればわかります。簡単に言うと、オーディオ関係で必要なのは2番(GND)、3番(R)、4番(L)ピン。あとはiPhoneにDockが接続されていると認識させるため、11番、15番を短絡して、68kΩの抵抗を介して21番につなぐと、警告メッセージが消せるそうです。ちなみにこの抵抗値はわりとアバウトな模様で、33k×2 = 66kΩとかでも大丈夫っぽいです。
Dockコネクタの素材は百均で売っている充電(Sync)ケーブル。こいつをバラしてミニプラグをつければ完成という目論見でした。
でした、と過去形なのは、最終的には市販品を買っちゃったからです。
Dockコネクタのピンピッチは0.5mm。さらに悪いことに必要なのは2、3、4番と、隣り合っているピンなわけです。ここにそれなりに太いケーブルを直にハンダ付けするのはかなり難しかった。
これがダイソー製Dockコネクタの内部。分解は比較的簡単で、ピンを差し込むスリットは30ピン分すべてモールドされています。対するセリア製は、充電ケーブルとして使用するために必要な部分にしかスリットがありません。外観のデザイン的には圧倒的にセリア製が上なんですけどねぇ。
ピン数が足りないけどコンパクトでかっこいいセリア製と、やぼったいけど30ピンすべてにスリットがモールドされているダイソーのケーブルを二個いちにしてはみたのだけど、仕上がったケーブルにちょっとでも力をかけるとすぐにショート。熱収縮チューブを入れるスペースもなく、ホットボンドで固めてしまうとメンテナンス性に劣ります。
iPhone本体またはDACを壊してもつまらないので、通販でさくっと購入。この手のものはお値段ピンきりですが、そこそこ安くて評判のいいFiio L3にしました。
お、この記事を書くために輸入元のオヤイデ電気のサイトを見てみたら、ただいま売り切れですね。Amazonだとマーケットプレイスで\9800なんて無茶なお値段。自分は配送料無料のヨドバシで買いました。ヨドバシドットコムは\1480です。
必要なものが揃いました。あらためて「iPhone5 > lightning to 30-pin adapter > Fiio L3 > 自作アンプ > SONYの安物イヤホン」という構成で、いろいろな曲を聴いてみました。
しかーし。
自分はいわゆるエレクトロポップとかが好きなんですが、perfumeの⊿(トライアングル)のなかで一番好きな4曲目、「edge (⊿-mix)」を聴いてみると、明らかにおかしい。 右側の音が割れて聴けたもんじゃない。
iTunesに取り込むときのゲインを絞ればなんとか聴けなくもないのだけど、どう考えてもこれはおかしい。
もちろん自作アンプの不具合は真っ先に疑いました。でもヘッドホン出力経由だとそれほど気にならないレべルだったので、これは前述の「つまらない」こと、lightning to 30-pin adapterをやっつけちゃったのだろうと勝手に断定。
休日になるのを待って、近所の家電量販店内にあるApple Shopへ。たまたまiCloudのデモンストレーションをやっていて、しばらくそれを眺めたあと、終了後におねーさんに聞いてみました。
まあ期待はしていなかったのですが、やはりここでは対応できない、Web経由でAppleに故障品修理の申し込みをしてほしいとのこと。Apple Storeなら修理受付してくれるはずで、久しぶりに地方の不利益を感じる結果となりました。
ただ、当のAppleのサポートは素晴らしく、Webで申し込んだ直後に受付番号を控えて電話したところ、ほんの数分のやり取りで交換対応が決定。代替品が届いたのは翌々日でした。速すぎてビックリでした。
ドキドキしながら接続して音出し。
…結果、なにも変わらず。lightning to 30-pin adapterは壊れていなかったようです。
次回へ続きます。
コメント
7件のコメントがあります
ご無沙汰しています。
ヘッドホンアンプですか。いいですねぇ。それも最初から
自作というのが、いいですねぇ。
私も丸1年ほどああでもないこうでもないと作ってきました。
もっとも、電源は12Vだったり15Vだったりして、持ち運びなど
かんがえていませんが。
ただ例外としては、「猫も杓子もみなこの丸型ケース」で
思いっきり部品を詰め込んだ物が1つあります。
1度だけ役に立ちました(笑
http://blog.goo.ne.jp/pyro100/e/258ec44b0a97bbed2732133f375d6551
>「iPhone5 > lightning to 30-pin adapter > Fiio L3 > 自作アンプ > SONYの安物イヤホン」
鳴らすだけでも大変な事になりますね。
私はiPhone3GSに自作DOCKコネクタからライン出力ケーブルを
外にだして、それにつないでいます
こういうものをつくってみるまでは気にならなかったんですが、ライトニングコネクタってぜんぜん恩恵がないような気がします。過去の資産をすべておじゃんにしてますわな。ま、アップルらしいといえばそれまでなんですけどね。
次の記事で書くつもりですが、このヘッドホンアンプ、現在はちゃんと稼働してます。
音楽聴くときはないとやってられないほどになりました。プラシーボ効果を考慮に入れても、ここまで違うとは思ってませんでした。
まるはさんみたいに財力もテクもないので、当分はこのアンプを使い続けることになるでしょう。うらやましい限りです。
タカチのMX、いいんですけどね~
カラーバリエーションを展開してるってことは、それなりに数が出てるんでしょう。
どうもひねくれ者でいけませんわ>オレ
>過去の資産をすべておじゃんにしてますわな
過去のMacintoshをみても、そうですし。
この会社は自分の資産を未来に生かそうという気がないのが
ありありと分かりますね。
>音楽聴くときはないとやってられないほどになりました
ヘッドホンとの間にアンプを挟むだけで音がここまで変化すると
思わなかっただけに、意外や意外という感じでした。
>当分はこのアンプを使い続けることになるでしょう
知っているだけでも十人くらいの方が、それぞれ独自性のある
ヘッドホンアンプを公開、または専用基板など販売されています。
個人的には、とりあえず2人の方のを作ってきましたが、
kyuさんが作られた低電圧駆動のも興味があります。
>まるはさんみたいに財力もテクもないので
とんでもないです。まさに下手の横好きのレベルで、
素人工作の域を出ていません。
それなりにケースなどに金をかけたらメーカもどきにも
できますが、それよりも、違う種類の物を自分で作って
聞いてみたいというのが目的ですから、数が増えるとなると
外側は最低限度の物になるのはしかたないと思います。
という事からしても、財力はないです。(笑
>どうもひねくれ者でいけませんわ
別にいいことだと思います。とかく人の真似と評判ばかりを気にしすぎる人が
多いですし、自分で決めているようで、実は周りに影響(洗脳?)されて
そうしているように思わされているように思えてしかたありません。
俺はこれが嫌いだから、こっちを使う。
これでいいと思います。
>タカチのMX、いいんですけどね
このケースを使う事にした経緯も、超小型化した基板の製造の目処が立って
さて入れるケースがないぞというので、大きさだけで選んだだけで
多くの人が使っているのを知ったのは後からでした。
メーカも数売れているから、製造しているのでしょうから、アルミ板を精度よく
曲げてなどというのは素人では敷居が高すぎますから、安直でいいのでは
ないかと思っています。
今回のアンプをつくるにあたって、どこの店で何をいくらで買うかまとめた購入品リストの作成の際、実はタカチのMX、最後までリストに残ってました。
ホント、ポチる寸前だったんです(笑)
でも、回路も借り物だし、どこかでオリジナリティを出したかったんですね。
なんていいながら、仕上がったモノはあんまり独自性のないありふれた感じだったりします。ははっ。
いろんな方があちこちでおっしゃってますが、アップルの、過去を振り返らない企業風土は、ある意味正解だしある意味間違ってると思います。
逆に、最新OSが古い機種でも動くのは、そこにかけるリソースを考えるとすごいことですよね。
仕事で使ってたこともあるMacは、あんまり好きではないです。でもiOSデバイスはどっぷりはまってしまいました。
逆説的ですが、Macで動く加工機、素敵です。
>逆説的ですが、Macで動く加工機、素敵です
印刷屋の出力の制御機器として動いていましたが、
肝心の機械がお役ごめんになったら、Macintosh ⅡCiも
破棄されていて残念な気持ちになりました。
36bitのビデオカードを安く仕入れるのに、どれだけ苦労したか。
アプリに深刻なバグがあるため、古いOSを動かさないと
いけないために苦心惨憺して動かすようにしたポリタンクも
あっさりと廃棄されていました。
画面を640x480に拡大したカラクラ(Color Classic II )は
誰かが持って帰ったとかで、備品の管理はどうなっているのかと
思ったほどです。
もっとも、Windowsの方が安くて早くていくらでも交換できますしね。
鉄工屋の謎の加工機は、進化も退化もできないので
あのまま動き続けさせるのでしょうかね。。
今の機械の方が、コストは別として人間の熟練度さえあれば
精度は格段なので実用になるのでしょうかね。
実物みても左右別々の型紙で3D軸が動くというのが
わけわかりません。(笑
高校生の時、友人がMZ-80K2Eでペンプロッタを自作していたのを思い出しました。
細かい仕組みはさっぱりでしたが、XY軸にモーターの動力を伝える仕組みを相談されて、タミヤのプーリーを紹介したのを覚えてます。
プロッタは完成したのですが、当時ベクトルフォントなんてものはなく、いちからフォントをつくるのが一番大変だったと言ってました。
高校とは全く関係のないところからの風のうわさで、このあたりでは結構有名な、できる制御屋になっていると聞きます。
天才っているんですよね。
>天才っているんですよね
いますね。
頭の中身の構造が違うのだと思っています(笑
本やマニュアルを読むのではなく、ページ丸ごと
写真を撮るように頭に焼き付けて覚えているとか、
暇があれば時刻表(当時は国鉄)を見ていて、
ゼミで出かけた時など、次の乗り換え時間どころか
寝坊して乗り遅れた奴に宿泊先から路線から時間まで
何も見ないで教えている奴とか、普通じゃないなって思いました。
本人は、いたってそれが普通らしいですけれど、
私には理解不能な人種でした。