クランクケース内減圧(その1)
- カテゴリ: ボルティー > クランクケース内減圧
- 投稿日時: 2011/10/20(木) 23:16:33
次のネタとして、巷で流行っている「クランクケース内圧の減圧」にチャレンジしてみます。原理や効果についてはググってもらえばわかりますのでここでは割愛。
会社のクラブのニンジャ乗りがエキパイから導いた負圧を利用する強制減圧方式を採用しています。「めちゃめちゃ具合いいっスよ~」とのことで気になっていたのですが、流石にエキパイに溶接加工するのは自分ではできないので、強制ではない方式、クランクケースとエアクリーナーボックスを繋いでいるブリーザーパイプにワンウェイバルブをはさむ方式でいってみます。ちなみに負圧で引っ張るのをアクティブ、クランクのポンピングを利用するのをパッシブとも呼ぶみたいですな。
パッシブ式は、市販品だとクランクケース内圧コントロールバルブとかレデューサーとか呼ばれているものです。
流用自作派の間ではトヨタ純正部品のPCVバルブを利用する方法がメジャー。他にもKTM純正部品の流用という手もあります。
市販品の中ではトヨタのPCVバルブが一番安価ですが、残念ながら我が家のヨツワは日産とスズキですので購入するすべがありません。トヨタ部品共販では車検証が必要とか必要ないとか…。
さて、必要なのはただの逆止弁。大別すると二通りの方式があります。流路の途中にボールまたはコマのような形の弁を設けるタイプと、2スト用のリードバルブのようなタイプです。前者がクランクケース内圧コントロールバルブ、後者がレデューサーになります。
自作派のなかには、ボールバルブを機械加工で一から削り出しでつくってしまう強者もいるようですが、ボールの径や重さなどのパラメータを決定するためには試行錯誤が必要。構造上の問題で高回転時の追従性が悪いとも、冬季に凍結して逆に内圧が上がってエンジンを壊してしまうことがあるとも聞きます。
対するリードバルブ方式は、完全自作するのは難しいです。
ってことでAISバルブを改造して利用することにしました。
AIS(エアインダクションシステム)は近年のバイクに標準採用されている装備で、二次エアを送り込んで排出ガス中の未燃焼ガスを再燃焼させるものです。車種とメーカーによりますが、一般的には逆止弁としてリードバルブが使われています。ボルティーにも排気ガス規制適合のため2000年モデルで追加されていますが、うちのは古いので付いてません。ちなみにAISというのはヤマハの呼び方のようで、カワサキやホンダでは単にAI、スズキの呼び方はわかりませんでした。
AISは二次空気供給装置なので、キャブのセッティングが難しくなったりアフターファイヤーを誘発したりで、それなりに心得のあるひとは外してしまうことが多く、ヤフオクに流れているものも多いです。ただしヤフオクではAISとか二次エアとかのキーワードではヒットしません。ブローバイとかで探すとごろごろしてます。
入手したのはジェベル200用のAIS中古品。ヤフオクでホース類までついてなんと84円でした。遠方だったので送料が落札価格の14倍近くかかりましたけどね。外側はまあまあきれいだったのですが、ネジが固着していてナメてしまい、外すのに貫通ドライバーが必要でした。
キャブレータをつくっているミクニの製品です。ホースを繋ぐ部分の形状にバリエーションがあるくらいで、このクラスの単気筒モデルについているものはみな同じみたいです。バルブボディにはPS2-2との刻印があります。
ネジ類をすべて外して、普通に分解できるところまで分解したところです。内部にはそれなりに使い込まれた跡が見られます。写真手前中央右の板がリード、中央左の曲げが入った板金部品がリードのストッパーです。
AISはインテークマニホールドから導いた負圧で内部のバルブを動かします。このダイヤフラムの向こう側にはシャフトがあり、シャフトの反対側には簡単な構造の弁がついています。インマニの負圧がない状態ではバネの力でバルブは開いていて、負圧でダイヤフラムが引っ張られると弁は閉じます。
これらの機構はまったく不要なばかりか、流路の抵抗になるばかりですので潔く撤去します。
ダイヤフラムはシールとして再利用するので、ダイヤフラム外周に傷をつけないようにカシメを破壊して押さえの板金を外しました。内部はなかなかひどい状態ですね。
ダイヤフラムの反対側、イン側の口を外すのはちょっと苦労しました。ダイヤフラムがカシメてあったシャフトにピンをあてがい、万力でぐいぐい押し込んで外したのがこの写真。スプリングが出てきました。写真が黄色がかっているのは特殊な照明のせいですので気にせずに。
スプリングの座というかシャフトのガイドというか、パイプ状の出っ張りが中央にあります。気にしなければいいんですが、リードバルブ側から見ると飛び出しが気になるので削りこみます。
手前にピントが合ってしまってますが、出っ張り部分を削って平らにしました。流石に手工具では無理だったので、休み時間に職場のフライスを使っちゃいました。加工後、CRCやらアルコールやらで内部を清掃。
インマニにつながっていたチューブの接続部には針の先ほどの穴が開いています。ハンダで埋めておきます。
あとは清掃の上、元通り組立てるだけです。もちろん内部のバルブ関連の部品は使いません。
取り付ける場所はここ。クランクケースとエアクリーナーボックスを繋いでいるホースの間に割り込ませます。いつでもノーマル戻しができるようにこのホースは切断せず、AISについてきたホースを切断して現物あわせすることにしました。
とりつけたところ。空中に宙ぶらりんでちょっと不安ですが、効果を見極めた後で、よさそうならちゃんとしたステーをつくる予定です。ホースの取り回しがいまいちですね。
さて、効果のほどはいかに。
(18181km)
Tweet
コメント
この記事へのコメントはありません