3Dプリンタ(15) 加速度を落として品質を上げる
- カテゴリ: 3Dプリンタ
- 投稿日時: 2016/11/16(水) 23:31:27
前回のエントリのリザードン、あらためて見るとなかなか寂しい出来栄えですね。積層痕というか、層ごとにがっつりとずれちゃってるのが目につきます。
実はこのリザードン、エクストルーダをオンキャリッジに改造する前のボーデンタイプで上半身も出力していました。リトラクトを減らしただけですね。なのでオンキャリッジの効果を図る指標にはなっていません。
さて、品質を上げるといえば分解能。積層ピッチの話ばかりになりがちですが、これはハードウェアの変更なしに解像度 (分解能) をいじる場合、変更できるのは積層ピッチだけだからだという理由からでしょう。
でもいろいろ試してわかりましたよ。単純に積層ピッチを細かくしても、造形に時間がかかるだけであまりきれいな出力は得られません。
積層ピッチはノズル径の半分が限界っぽいです。0.4mmノズルなら0.2mm。
積層ピッチはひとまず置いておいて、一層一層をしっかりと正確に積めば、自ずと品質は上がるバズ。じゃどうすればいいのか。その答えは揺れを抑えること。
出力中のマシンを見ていると、ブルブルがつがつと小刻みに揺れています。揺れていれば正確な場所に射出できないです。あたりまえですね。
なので振動の低減が第一課題。動作音がうるさいのと筐体全体の振動から来る造形品質の低下をオミットする方法を模索します。
振動の原因は筐体の剛性不足と過剰なGにあります。剛性確保についてはPrusa i3 でとられているようなネジ棒を使わないフレーム構造が有効でしょうね。残念ながらいまのマシンを改造するにはちょっと手間がかかりすぎます。で、G対策。
加速度を下げればGは減ります(んー、日本語が変だな)。加速度を下げると当然、単位時間に到達できる速度も下がります。でも出力するものにもよりますが、長い直線を等速運動させることが滅多にない本機の場合、加速度と速度はともに下げてしまってもよいかと。もちろん少々時間はかかるようになりますが、全体からしてみると大した率ではないはずです。
また速度と加速度に加えてさらに jerk も下げることにします。jerk とはなにかというと、無条件で嵩上げする初速度とでもいえばいいでしょうかね。ソースはここ。
3Dプリンターの動きをスムーズに!Marlinの加速度AccelerationとジャークJerkの変更・調整
よくまとまった記事です。一読することをオススメします。
加速度とjerkはmarlinで設定します。Configration.h に書き込むんですな。加速度はSlic3r側でもできるみたいですがいまいち自信がなかったのでファームウェアで。
MOVEMENT SETTINGS の ACCELERATION と XYJERK の値をいじりました。上記 AKIRA さんの値そのままです。
DEFAULT_ACCELERATION 3000 → 1000
DEFAULT_RETRACT_ACCELERATION 3000 → 1000
DEFAULT_TRAVEL_ACCELERATION 3000 → 1000
加速度は一律で3000mm/s^2を1000mm/s^2に
DEFAULT_XYJERK 20.0 → 10.0
JerkはXYのみ20.0mm/sを10.0mm/sにしました。
Slic3rの速度設定はこのようにしました。で、テスト出力した結果がこちら。
形状が形状なのでなんとも言い難いところですが、まあまあいいんじゃないでしょうか。出力中の動作音もだいぶ静かになりました。キンキンに張り詰めて動いていたのが、ヌルヌルと動くようになりました。いいですね。この方向で膨らませていきましょう。
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